コロナ禍でわかった良いタクシー会社・悪いタクシー会社

 

 

こんにちは、タクオです。

 

僕がタクドラデビューをしたのが2020年4月20日。

世の中は「緊急事態宣言」の真っ只中という最悪の状況だったわけですが、そんな中でタクシーに乗り始めたからこそ見えたことがありました。

 

今日はコロナ禍で浮き彫りになった「良いタクシー会社」と「良いとは言えないタクシー会社」について、僕の私見をお伝えします。

 

 

 

「老舗」と「新メン」

東京特別区で営業しているタクシー会社は、340社にも及びます。

その半数以上が戦後間もなく創業した「老舗」で、都内には創業ウン十年という会社が山のように存在します。

僕が勤めるY社も創業70年を迎える「老舗」で、現在の社長は3代目になるとのこと。

 

70年かぁ。

こっちはたった4年しか会社を維持することができなかったから、純粋にスゴイことだと思いますね。

 

そんな老舗の多い東京のタクシー会社ですが、ある時期に会社が乱立しました。

小泉元首相によって 規制緩和 が推し進められた2002(平成14)年のこと。

それまでは最低車両保持台数が定められていたり、開業のために許認可が必要だったのが、参入のための「ハードル」がさまざまな点で一気に押し下げられ、その結果、それまで約3万台だった23区のタクシー台数は、6年後の2006(平成20)年には2割以上多い約3.8万台まで増えたのです。

 

その規制緩和のタイミングで業界に参入してきたタクシー会社のことを、業界では「新メン」と呼び、運賃体系や労働環境が「老舗」と大きく違うところも多いため、ベテラン乗務員の中には「『新メン』の会社では働きたくない」という人もいます。

僕が見る限り、「新メン」の会社だからといって「稼げない」「給料が低い」「融通が利かない」といったことはなさそうに思えますが、保証 という点では老舗に劣るのではないかと、今回の「コロナショック」を通して感じています。

 

 

 

やたらと目についた「新メン」

先の「緊急事態宣言」を発令するに当たり、政府は「雇用調整助成金」を活用し従業員の雇用を維持するよう各企業に呼びかけました。

この「雇用調整助成金」は、労働者の雇用維持を目的とした制度で、約40年前から存在していましたが、今回のコロナ騒動で一気に注目を集めましたよね。

(僕が会社をやっていたときにお世話になっていた税理士さんも、「今まで使ったことがない」と話していたくらい、平時には使われることが少ない制度のようです。)

 

今回の「コロナショック」では、都内タクシー会社の多くがこの制度を利用し、最大限の休業補償をしながら乗務員の雇用を維持することができたようです。

たしかに人のいない東京でタクシーを走らせても、乗務員にとっては事故や違反のリスクが高まるだけですし、会社にとっても燃料代や車両維持費といったコストが出ていくだけ。

ですので、乗務員を休ませながら(国の制度を活用して)給料を払うことは、双方にとって「最善の策」だったと思われます。

(ちなみに、1台のタクシーを営業させたときに発生するコストは、人件費を除いて 一日2.5万円 にもなるそうです。)

 

僕がお世話になっているY社でも、社長がいち早く「雇用調整助成金」の活用を決め、緊急事態宣言が発令された4月には「安心して休んでほしい」と、(新人乗務員を除く)全乗務員に対して「雇用調整助成金」を活用した休業補償を打ち出していました。

休業に入る直近3ヵ月の平均月給の7~9割を支給した会社が多かったようですが、Y社も2020年1月~3月の平均の9割を「休業補償」ということで乗務員に支払っていたと聞きます。

(僕は新人の給与保証期間なので、「営収は少なくても構わない」ということで通常通り乗務にあたっていました。)

 

他のタクシー会社も同様の措置を講じていたところが多かったようで、「東京四社」と呼ばれる大手タクシー会社も乗務員に対する補償をしながら稼働台数を落とし、この度の「窮地」を切り抜けたようです。

 

そんな大手が稼働台数を減らした4月から5月にかけて、東京を走るタクシーに大きな変化が見られました。

「新メン」の車両をやたらと見かけるようになった のです。

 

 

 

「保証」も「補償」もないから走るしかない?

大手や老舗タクシー会社が休業補償を行い稼働台数を落とす中、「新メン」は通常通りの台数を稼働させているから、相対的に「新メン」車両の割合が高くなったのではないか、と思います。

6月15日以降フル稼働に戻す会社が増えた途端、「新メン」が目立たなくなりましたからね。

緊急事態宣言中に目にした「新メン」の会社は、稼働台数を落としたところが少なかったのだと思われます。

 

では、なぜ「新メン」のタクシー会社は通常営業しなければならなかったのか?

ここからは僕の推測になりますが、緊急事態宣言中に「新メン」の車両が目についた理由は、一つしかないと思います。

 

休業中の給料が補償されないから ではないでしょうか?

 

「雇用調整助成金」は申請から支給まで2ヵ月以上かかる上、4月の緊急事態宣言発令時にはコロナ禍での具体的な運用方法について決まっていなかった部分も多く、申請しても支給されるかどうかがわからない状態でした。

そんな中でも従業員の給料を補償しなければならないとなると、会社によってはまさに「生きるか、死ぬか」の問題になりかねません。

特に財務基盤の弱い中小のタクシー会社は、いつ入るかもわからない雇用調整助成金に期待している場合ではなく、現有の車両を走らせて乗務員自身に「日銭」を稼いでもらうほか無い、というところも多かったのではないでしょうか。

その象徴が「新メン」のタクシー会社だったように見えました。

 

現に休憩中に話を聞いた「新メンタクシー会社」のドライバーさんの中には、

「歩合率の保証はあるが、金額の補償は無いから走るしかない」

という方や、

「わずかしか支給されない休業補償か、通常通りの歩合率で給料を自分で稼いでくるかを選ばなければならず、『それなら』と走るほうを選んだ」

といった方もいました。

 

こういった対応は「新メン」の会社だけとは限らないのかもしれませんが、社屋の賃料やタクシー車両のリース代といった「固定費」も賄わなければいけないタクシー会社にとっては、乗務員に十分な休業補償を施すことが困難な状況だったと推測できます。

自社の社屋・車庫で営業している多くの「老舗」タクシー会社が休業補償をできた反面、社屋は賃借+車両はリースの「新メン会社」が乗務員に対する補償まで手が回らず、「今ある車両を走らせる」という判断に至ったのであれば、コロナ禍での通常営業も納得がいきますよね。

 

 

 

タクシー会社の財務状況まではわからないけど

全従業員を解雇したことで大々的にニュースになった「ロイヤルリムジン」さんは、「雇用調整助成金」を使って休業補償をするという選択をしませんでした。

理由は、申請から支給まで2~3ヵ月はかかることから、休業補償をすれば資金繰りが立ち行かなくなるため、と言われています。

それだけ手元資金が少なかったということでしょう。

コロナ前にはあれだけ “イケイケ” だったにもかかわらず、です。

 

「労働集約型産業」であるタクシーは、構造的にそもそも利益をあげづらいビジネスです。

ですので、営業年数の少ないタクシー会社が十分な内部留保を持っているとは考えづらく、そのような会社は今回のようなイレギュラーに柔軟な対応できなかった、ということにも繋がったのではないでしょうか。

 

個々の会社の財務状況まではわかりませんが、緊急事態宣言下の東京においては、「良いタクシー会社」と「良いとは言えないタクシー会社」が炙り出されたように見えました。

ですので、これからタクシードライバーへの転職を考えている方は、会社選びの際に「老舗か、新メンか」という基準も取り入れるのもいいのではないでしょうか?

まだまだ先行き不透明な状況が続きますが、もし就職先のタクシー会社の財務状況が芳しくないとしたら、「第2のロイヤルリムジン」にもなりかねませんからね。

「老舗」や「大手」であれば、その点で安心できる会社が多いと思います。

 

もしかしたら、財務状況など関係なく、補償を行った上で休業することなど初めから考えもしなかった会社があったのかもしれませんね。

だとしたら、そのような会社はさらに「要注意」です。

売上のことしか頭にないということは、財務状況が良くないことをはっきり示していることになりますからね。

 

今日は、コロナ禍の中でも、そしてコロナが収束した後も安心して働けるタクシー会社を選んでもらうために、僕の私見をお伝えしました。

少しでも参考にしていただければ嬉しい限りです。

 

 

 

 

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