こんにちは、タクオです。
前編では、何の目的・目標もなく肉体労働を続けていた若い頃について書きました。
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改めて振り返ってみると、自分のこととは言え「本当にもったいない時間の過ごし方だったなぁ」と思いましたね(笑)
後編ではブルーワーカーだった僕が、独立・起業に至った30代半ば以降のことをお伝えします。
崇高な理念や理想があって独立したわけではないので、気楽に読み進めていってください。
目次
ブルーワーカーから会社経営に至った経緯②
たまたま目にしたあるテレビ番組
正社員からアルバイトになったことで「自分が働いた分の給料をちゃんと貰える」という経験をした30代前半のタクオ。
たくさんお金を貰えることの喜びを覚えたことで、徐々に「自分の力で稼ぎたい」と考えるようになります。
となると、選択肢はやっぱり「独立・起業」しかないわけですよね。
とはいえ、これといったスキルや知識は持っておらず、経験や人脈も無い。
さらには今ほどネットが普及していなかったので、情報収集ツールもテレビや新聞・雑誌など一方的に発信されるものを頼るしかない状況でした。
(2000年代後半にネットは十分普及していたから、単に僕の情報収集スキルが低かっただけかも 苦笑)
そんなもどかしさを抱えながらも、酒屋の仕事を続けていたある日のこと。
仕事を終え、自宅でビールを飲みながら何気なくテレビを観ていると、ある番組が目に留まりました。
●スキル・知識不要で誰でも開業可能
●自分のペースで仕事ができる
●利益率90%以上だからリスクはほぼゼロ
●モデル月収70万円
なんだか情報商材のキャッチコピーのようなフレーズが並んでいますが(笑)、僕が観ていたのはあるフランチャイズ本部・T社が作った宣伝目的の番組だったんですね。
僕より少し年上の中年男性が、毎日仕事をしながら家庭の時間もしっかり取って、家事・育児もこなしている姿が取り上げられていて、まだ小さな子どもがいた当時の僕には魅力的な仕事に思えました。
「月70万円も稼げて子どもの面倒も見れるなんて、すんげぇ最高な仕事じゃん!」
番組を観た翌日には電話で説明会の申込みをして、その週末には埼玉にあるT社の研修センターで説明会に参加していました。
仕事の内容はというと、自動車の内装やアルミホイールのちょこっとした修理を行うというもの。
説明会では僕も実際に補修作業をやらせてもらいましたが、どの作業もある程度練習すればできそうなくらい簡単そう。
大きな機材は使わず、修理工場のように広大なスペースも必要ないので、身体一つあればできるという点も魅力的でしたね。
帰宅後妻に相談すると、「やってみたら?」と理解を得られたこともあって、月末には本部と契約をしていました。
フランチャイズ加盟料や機材代を合わせて約300万円。
「すぐに取り返せるだろう」と安易な気持ちで始めた仕事、それが自動車のリペアでしたが…
初めての独立は1年で廃業
2010年の夏に晴れて独立を果たしたタクオ。
ですが、技術も営業ノウハウも持ち合わせていない状態での船出だったので、行き詰まるのはある意味必然だったのかもしれません。
売上は最も良いときで月30万円。
ほとんどが月10万円も売り上げられなかったので、当然お金は無くなっていきます。
夜中に配送のアルバイトを掛け持ちしながらなんとか続けましたが、体力も資金もジリ貧になっていくだけで、明るい未来がまったく見えてきません。
当然家計にお金を入れられるわけもなく、妻とはだんだん険悪な状態に。
「金の切れ目が縁の切れ目」とはよく言ったものです。
結局開業から1年で自動車修理の仕事は続けられなくなり契約を解消した上、愛想を尽かされた妻には離婚を切り出されてしまいました。
仕事も家庭も失った34歳の夏。
唯一の救いは、フランチャイズとの契約を解消しても違約金がかからなかったこと。
それでも機材などはローンを組んで購入したので、しばらくは毎月約8万円の支払いをしていかなければなりません。
となると、僕に残された選択肢は一つ。
再び「従業員」に戻る、これしかありませんでした。
初めての独立に失敗した僕は、またしてもブルーワーカーとして働く日々を送ります。
それでも燻る独立・起業への思い
自動車の補修業に失敗した僕は、大手運送会社と築地の八百屋という “二足のわらじ” で、ガムシャラに働きました。
なにせお金が必要でしたからね。
朝5時半から昼過ぎまで八百屋で配達と店番をして、昼過ぎから夜まで2tトラックに乗って荷物の集荷をして。
30代でまだ無理の利く年齢だったので、当時は「大変だ」「疲れた」と感じたことはありませんでしたが、いま「もう一回同じように働け」と言われても、まぁ無理ですね(苦笑)
そんなわけで、独立に失敗して傍から見れば惨めな姿を晒していた僕でしたが、それでもなお「自分の力で稼ぐこと」を完全に諦められずにいました。
改めて起業するにはどうしたらいいのか?
朝から晩まで肉体労働に勤しみながら、前回と違って今度はじっくりと情報収集することに。
そして、リベンジの機会を伺って1年が経った頃のこと。
いつものようにパソコンで「自分で稼ぐ」手段を調べていると、「せどり」というビジネスがあることを知りました。
(せどりはただの “鞘取り” なので、厳密に言うとビジネスなんかではありません 汗)
量販店や中古品店で安く売られている商品を仕入れて、ネットで高く売る。
価格差と売れ行きさえわかればいいので、何の知識やスキルも持ち合わせていない僕でもできそうな感じです。
(実際コツさえ掴めば、誰でもできます。)
試しに休みの日に量販店に行ってリサーチしてみると、ネットの相場より安く売られている商品が思いのほかたくさんあるではありませんか。
となると、あとは実践するのみ!
休日はもちろん、平日も仕事が終わってから夜遅くまで仕入れに回る毎日を送るようになります。
経営者時代の「天国と地獄」、そしてタクドラへ
副業から2年で法人化
当然ですが、量販店や中古品店に置いてある商品のすべてが利益を取れるわけではありません。
(むしろほとんどの商品がネットより高い。)
店舗に並んでいる何千・何万とある商品の中から利益商品を探すわけですが、せどりを始めた頃の僕はその作業が「宝探しゲーム」のようで楽しくて仕方なかったんですよね。
このときの感覚は、タクドラになってお客さんを乗せることができたときの嬉しさにとても似ていると思います。
そんなこんなで、気づけば3ヵ月ほどで100万円を売り上げるようになり、1年後には毎月50万円以上の利益を出せるほどに進化していました。
その間も肉体労働は続けていたので、もはやどっちが本業かわからない状態ですよね(笑)
せどりを始めて2年が経った頃には月商250万円・利益100万円をコンスタントに叩き出せるようになり、税理士さんの勧めもあって法人を設立。
初めての独立→挫折から4年もの月日を費やしましたが、こうして念願だった社長になることができました。
その後はちゃんとした仕入先から商品を仕入れてネットで売るという形にすることができ、「転売」から「物販」への転換にも成功。
フランチャイズ時代のローンも無事完済し、このまま順調に自分のビジネスが大きくなっていくものと信じて疑いませんでした。
しかし、そんな「バラ色の日々」も長くは続きません。
ビジネス仲間からのある提案をきっかけに、僕の会社は坂道を転げ落ちていきます。
「このジャンルはこれから伸びますよ」
せどりを始めて間もない頃に知り合ったYくん。
僕より10歳近く年下の青年ですが、ビジネスに関する知識が豊富で、たまに会ってはいろんな情報をもらったりしていました。
そんな彼がある日、一つの提案をしてきました。
禁煙ブームの影響もあって世界的に市場規模が伸びてるんですよ
いっしょに 電子タバコの実店舗をやってみませんか?
電子タバコ?
聞くと『iQOS』や『プルームテック』といった加熱式タバコとは違う、水蒸気を吸うタイプのタバコ(いわゆる「vape」)が世界的にブームで、今後さらに普及していくんだとか。
Yくんのプランは、まずは自分たちで実店舗を運営し、その実績を元にビジネスをパッケージ化してフランチャイズ加盟店を募集するというもの。
(フランチャイズで失敗した僕がフランチャイズビジネスをやろうというのも、なんだか妙なものですが 笑)
3ヵ月で最低でも5人は集められると思いますよ
加盟料を1店200万円もらうとして、合計で1,000万円ですね
じゃあ俺が店舗を運営して実績を作るよ
ネットを使った集客が得意だというYくんが加盟店集めを、人当たりの良い接客向きの僕が店舗運営と、役割を分担することから電子タバコ店のフランチャイズ展開計画がスタートしました。
その間は自分のビジネス(ネット物販)ができないので、収入は電子タバコ店の売上頼みになります。
しかし、実店舗をやったことのない僕がすぐに売上を上げられるわけもないですよね。
それ以前に、店舗賃借の契約、内装工事や什器の設置、商品の仕入れと、開店の準備に大きなお金が必要です。
となると、手持ちの資金だけでは足りないため、金融機関から借り入れなければなりません。
物件探しや業者の手配と並行して、公庫や信用金庫に融資の申込みもしました。
その額およそ1,300万円。
「加盟店さえ集まれば、1年も経たずに返せるだろう」
そんな楽観的な考えでいたので、このときは後々苦しむことになるとはまったく思い及びませんでした。
加盟店をまったく募集していないだと!?
電子タバコ店の開店準備は、思った以上にスムーズに進んでいきました。
物件探しを始めてから内装工事完了まで、2ヵ月もしないうちに開店まで漕ぎ着けることに成功。
「3ヵ月で加盟店を5人集められる」というYくんの言葉を信じ、僕は都内某所のマンション1階に構えた “新しい城” の店番に集中します。
借り入れた資金も、大半はすでに開店のために使ったため、店舗運営費に残した分を除くと自分の生活費はかなりギリギリの状態。
それでも「3ヵ月だけ辛抱すれば、その後はどうにかなる」と考えていたので、接客・販売はもちろん、ポスティングやネット広告といった販促にも注力し、とにかく実績を作ることに意識を向けました。
それで、肝心の売上のほうはと言うと…
3ヵ月経っても思ったほど上がっていきませんでした。
ネットと違って「(商品を)出せば売れる」というわけではなく、ポスティングや広告も思うような効果がなかったんですね。
Yくんのほうはと言うと、開店当初に1、2度店に顔を出しただけで、それ以外はLINEでやりとりはするものの、正直何をやっているのかわからない状態でした。
なかなか売上が上がらない中、開店から3ヵ月が経ち、そろそろ加盟店募集にも目処がついただろうとYくんに連絡すると、
それより、看板出したりポスティングの枚数を増やして、売上をもっと上げていきましょうよ
はぁーーー?
結果が伴わなかったとはいえ、店舗運営という役割に集中していた僕に対し、Yくんはこの3ヶ月間自分の仕事をしていなかっただけでなく、「もっと広告出しましょうよ」と宣うではありませんか。
「3ヵ月で加盟店を集める」という約束を反故にされた僕はキレて、Yくんに文句を言いました。
そりゃあそうですよ。
「3ヵ月後にどうにかできる」と信じてお店を出し、自分の売上を捨ててまでお店を切り盛りしていたのですから。
そのケンカが原因でその後はYくんと連絡が取れなくなり、当初は折半する予定だった開店や店舗運営にかかった費用も、そのほとんどを僕が負担することになってしまいました。
お店のほうはというと、その後も思うように売上を伸ばすことができず、結局開店から1年ほどで閉店することに。
経験も勝算も無い中での「見切り発車」で頓挫してしまうという図式は、自動車修理のフランチャイズに加盟したときと同じです。
「10年経っても成長してないな」
このときは本当に自分のバカさ加減に嫌気が差し、自己嫌悪の渦に飲み込まれていました。
事業を立て直せず、タクドラの道へ
電子タバコ店の閉店処理を済ませた後は、再び「祖業」であるせどりに集中しました。
ブランクとしては2年ほどしかなかったので、仕入れや販売といった活動自体に問題は無かったのですが…
毎月大きな額の返済をしていかなければならないので、稼いでも稼いでも毎月お金が足りない状況が続きます。
そんな日々が続くと「このまま自己破産するのではないか」と考えるようになり、徐々にメンタルが追い詰められていき…
そうなってしまうとどんどん負のスパイラルに嵌っていくわけで、それがさらなる焦りや不安となって事業の立て直しにブレーキを掛けていたのだと、今になって思います。
法人名義ではこれ以上の借入ができないので、個人名義で借入をしながら事業の立て直しに注力しましたが、盛り返すことはなく、最終的に自力ではどうにもならなくなりギブアップ。
そんな状況の中で辿り着いたのが、タクシードライバーという職業でした。
…
…
…
と、まぁ自分で書いていても「バカだな、こいつ」と思う半生ですね(苦笑)
こんな感じなので、僕には人様に自慢できるような経歴や実績など一切ありません。
それどころか、この2年間を振り返ると、「会社を経営していた」とはとても言えないほど情けない状況だったと思いますね。
しかし、「タクシーをやろう」と決めてからは「希望」のようなポジティブな感覚を持てている自分がいて、なんとも不思議な感じがしているんですよね。
(2,000万円を返していかなきゃいけないのに 笑)
とは言っても、最終的な目標はあくまで会社の再興。
タクシーで稼げるようになって、そのことを忘れてしまうのがいちばん怖いと、今は思っています。
「会社員」ではあるけど「ほぼ自営業」のタクシー乗務員という仕事が、「自分の事業にも何かしらの良い影響をもたらしてくれる」と信じながら、この先も進んでいきたいですね。
僕は数年前あるいは今の僕と同じような境地にいる同世代の方々に、
こんなおっさんでもどうにか生きてるよ
いっしょにもう一回がんばってみようゼ!
という気持ちを共有したかったのと、
若い方々には、
失敗してもやり直しはできるから、
自分のやりたいことをやりたいようにやってOK!
というメッセージを伝えたくて、このブログを始めました。
「人生やり直し」の真っ只中にある僕ですが、タクシードライバーになってからは、先ほども書いたように再起への道筋がわずかに見えるようになりました。
あとは僕自信がやるか、やらないか、それだけですね。
そんな僕の「地獄から天国へ」の戻る過程を、このブログやSNSを通して見守っていただければと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
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