こんにちは、タクオです。
都内在住・在勤の方はもちろん、東京以外の地方にお住まいの方の中にも「東京でタクシー運転手をやってみたい」と考えている方がいるかと思います。
なにせ、月11~13日の勤務で年収600万円が狙えることを考えると、なかなか “おいしい仕事” と言えますからね。
しかし、何百もある東京のタクシー会社の中からどの会社を選ぶべきか、経験のない方は簡単に決められないでしょう。
僕も転職先を決めるとき、どのような基準で会社選びをしたらいいのかがわからず、結構迷いました。
そこで今日は、そんな「タクシー運転手の候補生」のみなさんが会社を選ぶ際に参考にできるよう、都内タクシー会社の勢力図 をまとめてみました。
僕も業界経験はまだまだ少ないですが、車両台数などを基に調査したので、客観性のあるデータだと思います。
各所に図やイラストを配置してしてありますので、タクシー業界の方にも、それ以外のみなさんにもわかりやすい内容になっています。
総台数の4割以上を占める「東京四社」
まずは車両台数を基に「勢力図」を見てみましょう。
その前に、タクシー業界の「構造」を理解しておいていただきたいので、簡単に説明します。
東京のタクシー会社は、お客さんから受けた予約を無線によってドライバーに伝え適切な配車を行っています。
無線は、一つのタクシー会社が単独で運用しているケースは少なく、ほとんどの場合、複数のタクシー会社が組合などを作り共同で無線配車を行っています。
この組合・グループのことを「協同無線組合」「無線グループ」と呼び、無線配車の共有だけでなく、車体のカラーや行灯(あんどん)、チケットの取扱いについてもグループごとに共通の仕様になっています。
都内には、「東京無線グループ」や「チェッカーキャブ無線」といった無線グループがあります。
先ほど「一つのタクシー会社が無線を単独で運用しているケースは少ない」と書きましたが、大手では無線の運用をその会社が主体となって行っていることが多く、そのようなケースでは「無線グループ」という分類はしないで、単純に「◯◯交通グループ」「▲▲タクシーグループ」などと呼ばれます。
都内最大手の日本交通は「日本交通グループ」、準大手の日の丸交通は「日の丸グループ」といった感じですね。
いずれにしても、無線やタクシーチケットの利用でグループ分けできるのが東京のタクシー業界です。
こちらは2017年と2018年のデータを基に作成した、東京特別区+武蔵野市・三鷹市(特別区・武三交通圏)のタクシーのシェア率のグラフです。
特別区・武三交通圏の法人タクシーの総台数は約2.7万台で、そのうち「東京四社」と呼ばれる大手4社(日本交通、km、大和、帝都)とそのグループが約1.1万台・約40%の車両を保有しています。
ここで注意していただきたいのが、大手・準大手の行灯を付けているからといって 必ずしもその会社の車両というわけではない という点です。
業務提携している他社の車両も、大手・準大手タクシー会社の車両と同じ仕様であるため、上のグラフが純粋な会社ごとのシェア率を表すものではない、ということです。
例えば、国際自動車(kmタクシー)は、国際自動車本体の保有台数は1,889台ですが、業務提携している19社の車両も含めると3,453台となります。
同様に、大和自動車交通本体は629台しかなくても、所属する22社・1,372台を加えると2,000台以上の巨大なグループとなるのです。
「東京四社」に準大手と呼ばれる3社(東都、日の丸、グリーンキャブ)も加えると、約1.5万台・約55%という数字になります。
つまり、東京を走るタクシーの半分以上が、大手・準大手とそのグループの車両というわけです。
また、大手や準大手のグループではない 東京無線グループ と チェッカーキャブ無線 にも多くの車両が存在しています。
両グループとも14%前後のシェアを占めており、台数だけを見ると 最大手の日本交通グループと遜色のない規模 となります。
では、大手・準大手7社と2つの大きな無線グループ以外は「無視」してもいいかと言うと、そんなことはありません。
京王自動車 や 小田急交通 といった私鉄系タクシー会社も100台規模のタクシーを持っていますし、ワンコインタクシーの元祖・アシスト、老舗タクシー会社の 荏原交通 など、単独で200台以上の車両を有している会社も東京には多数存在します。
※ 京王自動車は、2020年2月に帝都自動車交通との業務提携が決定し、今後は帝都グループとして営業していくことになります。
また、ここで取り上げた数字は法人タクシーの台数だけで、これに個人タクシーの1.2万台も加わるのですから、東京のタクシー業界がいかに「戦国状態」かがおわかりいただけるのではないでしょうか。
1法人単独ではkmがトップ
先ほどは無線グループ別の車両台数を基にシェア率を計算しましたが、一つの会社が保有する台数ではどんなランキングになるのでしょうか?
会社名 | 車両台数 | 所属グループ | ||
1位 | 国際自動車株式会社 | 1,899 | kmグループ | |
2位 | 日本交通株式会社 | 1,510 | 日本交通グループ | |
3位 | 株式会社グリーンキャブ | 972 | グリーンキャブ | |
4位 | 帝都自動車交通株式会社 | 500 | 帝都グループ | |
5位 | 荏原交通株式会社 | 307 | 単独 | |
6位 | 東洋交通株式会社 | 265 | 日本交通グループ | |
7位 | 大和自動車交通江東株式会社 | 259 | 大和グループ | |
8位 | 東都無線タクシー株式会社 | 246 | 東都自動車グループ | |
9位 | 国産自動車交通株式会社 | 240 | 東京無線グループ | |
10位 | 東都城北タクシー株式会社 | 236 | 東都自動車グループ |
※ 2018年のデータを参照
国際自動車と日本交通は単独で1,000台以上の車両を持っているんですね!
さすが東京の大手2強です。
3位以下にも、1,000台近い グリーンキャブ、500台の 帝都タクシー など、東京には規模の大きいタクシー会社が多数あることが見てとれます。
(ちなみに、大阪府最大のタクシー会社・株式会社未来都の保有台数は、579台です。)
また、7位の 大和自動車交通、8位の 東都無線タクシー は、単一資本で複数のタクシー会社を運営しているため実際の保有台数はさらに多くなり、特に東都自動車については1,554台と2位の日本交通を凌ぐ規模になります。
こうして見てみると、「『東京四社』だけが大手ではない」と言えそうですね。
売上高や無線件数も調べたかったが…
東京のタクシー業界の「勢力図」を見る上で、台数が最も重要かつわかりやすい数値になると考え、今日の記事を作成してみました。
しかし、実際に利用・乗車するのはお客さんであり、乗車人数や乗車回数といった数値を見ないことには、事業者・乗務員側の「独りよがり」な業界勢力図になってしまうのではないでしょうか?
そういった点を考え、売上高やお客さんからの依頼数を表す無線配車数についても調べてようと試みたのですが…
データを公表していない会社が圧倒的に多く、また、公表している会社でもタクシー事業だけの純粋な売上高などを発表しているケースはほとんどなく、売上高や無線配車数を基にした「勢力図」を作成するのは「かなりむずかしい」という判断に至りました。
車両台数を基にある程度の憶測は可能なんでしょうけど、確かな数字に基づかないデータは、どこまでいっても「憶測」でしかありませんからね。
ちなみに、「一般財団法人 東京ハイヤー・タクシー協会」の調査によると、特別区・武三交通圏で営業するタクシー(個人タクシーを含む)の2018年度の売上高は 3,755.9億円 でした。
そして、売上高を公表している会社の数字を見てみると、
●日本交通 … 1056.74億円
●km(国際自動車)… 506.77億円
●大和自動車交通 … 169.2億円
●帝都自動車交通 … 178.4億円
●日の丸交通 … 82億円
●東都自動車 … 51億円
●グリーンキャブ … 161億円
●東京無線グループ … 65.33億円
と、上記8つの法人・グループだけで 約60%に当たる2270.44億円を占めている ことになり、辻褄がほぼ合わない数値になってしまうんですね(苦笑)
売上高を公表している各社が「タクシー事業は◯◯億円」「バス事業は●●億円」「不動産事業は△△億円」といった具合に、セグメント別の数字を発表していたらもう少し信憑性のあるデータを割り出すこともできたんでしょうけど、こればかりは仕方ないですよね。
また、無線による配車件数に関しても詳細なデータを見つけることができませんでしたが、都内では配車・予約アプリの普及に伴い無線配車の件数が年々増加していて、2019年には 年間1,915万回 も利用されています。
これは5年前(2014年)に比べると 約1.5倍 に増えており、今後も増加が見込まれています。
今回はデータを見つけることができませんでしたが、台数以外のデータからも都内タクシーの「勢力図」を作れるように、売上高や無線配車件数に関するデータは見つけ次第拾っていこうと思います。
複数の要素を見ることでわかってくることもあるでしょうからね。
今後も逐一リサーチ & 分析していきます!
タクオ 公式LINE
●ブログでは書けないタクシードライバーのリアルをお伝えします
●タクドラ転職希望の方の疑問・不安を解決! 1対1でやりとり可能!
●タクオのオリジナル営業ノウハウを配布(するかも?)
●現役ドライバーの方の情報交換にも活用されています
●副業やスモールビジネスに関する情報を不定期配信
●経営に失敗した社長が再び立ち上がるための情報も配信中
●登録すると基本的にラッキーなことしか起きないようになっています